暖冬とは言え、ここ数日は寒かったですね。あちこちで梅が咲き始めているのを見ながら、ふと思いました。
今年はまだ宮城道雄記念館の梅の香りを嗅いでいない…。
毎日のようにその前を通っているのに、何故気が付かなかったのかしら?と、思い、
今日こそは道雄先生の梅(←勝手にそう呼んでいます。)を見に行く。
そう思っていつもの道を急ぎました。
あー今年はこんなに沢山の花をつけているー。
数年前に敷地内の建物の建て替えがあって、この白梅も植え替えになったのですが、その時からしばらくは元気がなくて、心配したものでした。
でも、今年はこんなに美しく花が咲いて、とても嬉しく思いました。
そして気がつきました。こんなに美しく咲き誇っている白梅の香りに何故気づかなかったのか。
植え替えの場所が、昔よりもずっと高い位置になっているからだと言う事に。
だから下から仰ぎ見ている私には、香りが届きづらいのです。
何とかして香りを嗅ぎたいと思って、しばらく上を向いていると、後ろから、
「あら梅の花なのね、貴方が上を向いていたから気がついたわ。綺麗よねー。」
と言って話しかけて下さるご婦人がいました。
やっぱり皆んな気づかずに通り過ぎてしまうのでしょうか。道雄先生の梅を。
宮城道雄先生の作られた曲には、梅の花が出てくる曲が思いつくだけでも数曲あります。
私が知らないだけでもっと沢山あるのかもしれませんが、
道雄先生は、梅の花がお好きだったのだろうなーと、思うのです。
『春の夜』の歌詞は、「あるじは誰そや 白梅のかほりにむせぶ春の夜は」と始まります。
「あるじは誰そや 白梅のかほりにむせぶ春の夜は
朧の月をたよりにて 忍び聴きけむ つまごとか
そのわくらはの手すさびに そぞろに酔えるひと心
かすかに洩れし灯火に 花の姿は照りしとか
たおりは果てじ花の枝 慣れし宿りの鳥鳴かん
朧の月の恨みより その夜くだちぬ春の雨
箏はむなしく音を絶えて 今はた忍ぶ彼ひとり
ああその夜半の梅が香を ああその夜半の月影を」
「荒城の月」などでも知られる土井晩翠先生の詩に、宮城道雄先生が歌と箏の曲を付けたものなんだそうです。
美しい詩ですねー。春の夜と白梅の香り。
明日は雨が降るみたいだから、雨が上がった夜、またこの梅の香りに逢いに行こう。